基調報告・活動方針

第35回近畿大会 基調報告

新型コロナウィルス感染症は、年始めには変異株の影響により第6波となり、これまでにない感染者数を記録する大流行となりました。この第6波は、若年層、学齢期の児童・生徒に感染が拡大し、学校現場においてはこの間、学級閉鎖、出席停止などが相次ぎました。学校では、あらゆる感染症対策が日常化し、感染が拡大しても休校にはせず、ICTの活用なども活用し、教育活動が続けられてきました。その一方で、訪問教育は、授業を自粛する家庭や、病棟の閉鎖や教職員の立ち入りが制限される施設や病院があり、思うように授業ができない日々が続きました。そのような中、訪問教育に携わる教師たちは、さまざまな工夫、感染症対策を行いながら、ご家族や関係者と協力し合い、子どもたちの教育を止めないため、苦労と努力を続けてきました。
この間、学校ではGIGAスクール構想により、タブレット端末の個人配布やICT環境の整備が急速に進められ、オンラインによる授業が当たり前のように行われるようになりました。けれど、訪問教育では、施設や病院のインターネット環境の整備が不十分でオンライン授業ができない、一人一台端末が高校生には届いていないといったことが生じています。「状況調査」などからは、いまだに1回10分のオンライン授業しかできない施設があることも明らかになりました。子どもたちの学びは、オンラインで行っているからよいというものではありません。障害が重かったり、病院や施設にいるなど、オンラインでは学びにくい子どもたちが多くいます。もともと授業の日数、時間が少ない訪問教育の子どもたちの学ぶ権利が十分に保障されているか、問う必要があります。
  • 訪問教育は1979年の養護学校義務制実施に合わせて、障害が重いために通学が困難な子どもに教育機会を保障するために始まりました。しかし、その後、対象児童生徒の実態や社会の変化に応じて、当初の対象規定や教育形態にとどまらず、一人ひとりのニーズに合わせて教育を届ける制度として充実・発展させる取り組みが進められてきました。コロナ禍のさまざまな現実や困難の中、これまでの訪問教育の歴史にも学びながら、このような状況の中、子どもたちに必要とされる訪問教育のあり方を議論していきましょう。

    続く「コロナ禍」での訪問教育の意義と課題

    「訪問教育状況調査」等では、訪問教育について多くの意見が寄せられました。訪問生が喜んだ活動や歌、教材などが多数挙げられ、コロナ禍であっても、こうした文化、授業に触れ、子どもたちの豊かな成長、学びのために日々、努力をされている教師たちの思いが伝わってきました。授業で見せる子どもたちの姿には、あらためて子どもたちの生活を豊かにする学校や教師の役割を教えられます。その一方で、感染症により、これまでと同じような授業ができない状況は続いています。濃厚接触や感染、病棟等の閉鎖などにより、授業が中止となる、複数訪問や集団授業ができない、卒業式さえもオンラインで行うといったことが各地で生じていました。
    教師による短時間の病室への訪問や、オンラインを短時間つないだことで授業をしたことになってしまっている現状があり、実質的な教育が保障されていない状況が長く続いていることはけして見過ごせません。このような状況に、教師たちは歯がゆい思いや苦しさを抱え、保護者からは「授業が十分にできないまま進級させてよいのか、留年させてほしい」といった切実な声が寄せられました。
    このように通学籍と訪問学級籍の教育条件の格差が浮き彫りになり、その格差を解消し教育機会を平等に保障することが求められています。訪問教育を担当する一部の教師の悩み、課題とせず、学校全体でこのような課題を考え、共有していくことも必要だと考えます。
     在宅や施設で暮らす子どもや保護者が孤立したり不安を感じたりすることがないよう、必要な教育や支援を行き届けることが求められています。子どもたちのいのちを守ることと同時に、子どもたちの発達や豊かな学びに必要な教育をどう保障していくかといった視点を私たちは忘れてはなりません。子どもに必要な教育がどうしたら実現できるのかを繰り返し話し合うことが求められます。そのためには、訪問学級の教育課程づくり、そして訪問教育を進める教員配置や体制づくりといった視点も大切になるでしょう。

    訪問教育の充実に向けて

    2021年9月、これまでの間、特別支援学校にだけなかった「特別支援学校設置基準」が、ようやく制定されました。これは10年近くにわたる保護者や教職員の運動の成果といえますが、策定された基準はまだまだ不十分なものと言わざるを得ません。
    訪問学級は、通学籍の重複障害学級と同じ学級編制基準としている学校がほとんどです。2021年2月に発表された「新しい時代の特別支援教育の在り方に関する有識者会議」の最終報告でも、在宅や病院で訪問教育を受けている児童生徒については、「指導実態に応じた教員配置」の検討の必要性が指摘されています。訪問学級の子どもたちは、一人ひとりの実態が大きく異なり課題も多様です。訪問学級の学級編制は「その指導の実態に応じ、適切に行うこと」(「訪問教育の概要(試案)」)といわれながら、いまだに「週6時間」という「標準」の授業時数にとどまっています。週3回(1回120分)が主流ですが、病院・施設訪問では週5回(1回90分)など弾力的な運用をしている地域がある一方、週2回や1回45分という地域もあります。子どもの健康や体力に応じて、毎日訪問も実施されてよいはずです。子どもの「実態に応じ、適切」な授業日数・時数を保障するためにも訪問学級独自の学級編制や教職員定数の基準が必要です。また、学級編制において、訪問の生徒が通学籍の学級に込みこまれ、訪問学級の担任が十分な教材研究の時間が取れない、通学生の授業にも入り負担が増えているといったことが生じています。
    今後は、訪問学級の学級編成、「指導実態に応じた教員配置」の改善・充実をはかることがより一層、求められます。
    また、有識者会議の最終報告では、病気療養の子どもについても、入院の短期化・頻回化に対応して前籍校と特別支援学校との間で「切れ目のない学び」を保障するための「教育課程の連続性や、柔軟かつ多様な学習形態や指導方法」の工夫改善、「設置者や学校間の連携」の重要性が指摘されています。自治体や学校によって病院訪問や訪問教育を活用した退院後ケアなどが取り組まれてきましたが、その対応には格差があります。病気療養の子どもの教育空白を生じさせない仕組みをつくるためにも、各地域で子どもの個別の実態やニーズを把握し、取り組みの情報を共有することが求められます。
    医療的ケアが必要な児童・生徒への対応については、2021年6月に「医療的ケア児支援法」が成立しました。特別支援学校では医療的ケアが必要な子どもが通学できる条件が漸次改善され、この間、保護者の付き添いが求められるために訪問学級となっていた子どもたちの教育機会の保障が進んでいます。一方で、訪問学級でしか学ぶことができない子どもたちもいます。「状況調査」においては、訪問教育で学ぶ子どもたちの医療的ケアの対応は、ほとんど手つかずのまま、保護者の負担がとても大きいといった現状が多く寄せられました。同じ学校の在校生であるのにスクーリングの際に学校看護職員が医療的ケアを行えない、保護者の代わりに訪問看護師が同行することが認められない、訪問生は校内の医療的ケアの対象になっていないなどの状況がありました。そのため、スクーリング時に保護者が離れられない現状があり、訪問生の医療的ケアの整備を求める声は切実です。また、在宅訪問では、訪問看護師によるケア中は授業が認められていない県があったり、保護者の方がとても疲れている様子なのに教員によるケアができないため、申し訳ない思いで授業をしているなど、担任の先生の切ない心情が寄せられました。保護者の負担をなんとかしたいという願いは、訪問教育に携わる多くの教師の願いであると感じます。
    訪問教育を必要としている児童・生徒の教育、学びの保障、条件整備は、今後もしっかり求め続けていきましょう。

    ICTと訪問教育

    「コロナ禍」が続く中、学校現場では、ICT環境の整備が急速に進められ、GIGAスクール構想も相まって、「一人一台端末」が実現しました。肢体不自由児や重症児の教育においては、これまでも電子通信技術(ICT)や支援機器(AT)といったツールありきではなく、発達初期段階にある子どもの姿をていねいに理解しながら、子どものねがいを実現し、生活を広げるための授業内容を吟味するなかでICTやACの活用を追究することを大切にしてきました。また、病気療養の子どもの学習空白への対応においても遠隔授業を取り入れながら、入院中の子どもが人とのつながりや世界を広げる学習を模索してきました。
    訪問教育では、子どもとの直接の触れ合いや密接なかかわり合いの中で、教師が子どもに呼びかけ、歌いかけるときの声の調子、抱っこの仕方に込められた教育的意味を追求してきました。オンラインでの授業、短時間での病室への訪問で、子どもとふれ合うことができない、直に声をかけてあげることや教材を届けてあげることができない、人や物にじっくりと触れ合いながらの学習ができないといった教師たちの切ない思いが聞こえてきます。訪問教育の中で、人とかかわり合う経験や触れ合いの文化をいかに保障していくのかが問われています。
    今後、ICTの活用や遠隔授業のさらなる推進が予想されますが、教育目標、教育内容、訪問学級の子どもたちの実態や発達を踏まえ、ICTの活用・導入のあり方を検討することが求められます。

    第35回大会の議論にむけて

    全訪研の全国大会は、訪問担当者にとって数少ない自主的な研究・研修の場であり、全国各地の課題や情報を交流し合う貴重な機会です。しかし、今大会も残念ながらオンラインでの開催となり、直接集うことは叶いませんでした。けれど、このような形であっても、この間の大会から、全国の訪問担当者をつなぐという全訪研の役割、全国大会の意義は大きく、つながることの大切さ、共に学び、励まし合うことの大切さを感じています。
    全訪研では、“つながり”作りのため、1月から月1回のペースで「訪問井戸端トーク」をオンラインで開催してきました。授業のあれこれ、各校での訪問授業の実際や課題、コロナ禍での訪問教育、進路指導や卒業後のことなど、話題は尽きません。校内でも少数派である訪問学級の教師たちにとって、同じ苦労や悩みを共有し合い、情報交換ができる場となっています。
    訪問教育をうける子どもたちの命が守られる「生きる権利」だけでなく、医療や教育、生活のへの支援を受け、成長発達する権利「育つ権利」を誰もがもっています。訪問教育により、重症児の、施設や病院にいる子どもたちの教育機会は保障されていると言えますが、真に子どもたちの「育つ権利」としての教育が保障されているでしょうか。これからも、子どもたちの「学びたい」を受け止め、それを叶えるための制度や条件の整備、豊かな訪問教育の充実をめざしていきましょう。
    「一人ひとりのいのちが輝く教育をめざして」、訪問教育に携わる人たちがつながり、互いに議論や学びを深め合う、そんな大会にしていきましょう。

  • 2022年度 活動方針

    1.全国の実践を交流しあい、そのつながりを大切にしながら、訪問教育の制度や教育内容を充実させる研究を進めます。

    子どもや保護者の教育への多様なニーズと期待に応えるため、教育課程、教育内容・方法の一層の研究充実を目指します。また、新型コロナウイルス感染症の拡大および、その対策の中での訪問教育への影響、実施状況、困難や課題について考えます。

    1. 第35回全国大会をWEB開催で行います。
    2. 会報「こんにちは」を発行し、各地の実践や情報を紹介します。
    3. 「訪問教育研究第35集」を発行し、会員に配布するとともに普及に努めます。
    4. 会報「こんにちは」とともに、全訪研メーリングリストやホームページ、大会での「状況調査」などを活用して、会員相互の実践や条件整備のための交流を進めます。
    5. 通信教材の活用については、実践や活用における課題などの情報交換をすすめます。
    6.     

    7. 新型コロナウイルス感染症対策の中での訪問教育の状況、困難や課題などの情報交流を進めます。

    2.訪問教育の実施状況を明らかにし、制度改善について研究を進めます。

    特別支援教育の展開の中で訪問教育の実施状況も変化しています。代配t次全国調査では不登校の児童生徒の対応として訪問教育を実施している自治体があることが明らかになりました。自治体や学校、訪問先によって教育条件の違いはありますが、これまでの到達点をさらに発展させる視点にたって、訪問教育のあり方を研究します。

    1. 第九次全校調査を元に発行した「訪問教育の現状と課題Ⅸ」の普及に努めるとともに、広く意見交換を行います。
    2. インクルーシブ教育を踏まえた訪問教育のあり方について検討し議論を深めます。
    3. 就学猶予・免除者、長期欠席(不登校)・学習空白を生じている子どもたちの教育保障について、関係分野の方と協力して検討を進めます。
    4. 全国病弱教育研究会及び国立と特別支援教育総合研究所の協力のもと、第九次全国調査の分析をすすめます。

    3.地域・ブロックでの訪問教育研究活動を進めます。

    地域に根差した訪問教育を一層発展させていくために、身近な地域・ブロックでの活動を積極的に進めます。

    1. 地域・ブロックの訪問教育活動を広く訴え、各地の学習会開催のために、「地域活動推進費」の活用や講師派遣など、必要な協力を行います。
    2. 「地域活動推進費」の活用が広がるよう、「地域での研究活動マニュアル」を普及します。
    3. 地域ごとの活動を進め、「こんにちは」や「ホームページ」を通して交流します。

    4.全訪研の活動の輪を広げ、関係者との連携を進めます。

    1. 会員の拡大と交流に努めます。
    2. 「全訪研メーリングリスト」の普及に努め、日常的な交流を推進します。また、地域でのメーリングリストとのリンクを図ります。
    3. 全訪研ホームページを充実させ、活用します。
    4.     

    5. 全訪研井戸端トークを行います。
    6. 保護者と訪問教育についての意見交換を行い、「全国訪問教育親の会」との連携を進めます。
    7. 医療・福祉関係者など、重症児(者)・病気療養児(者)にかかわる方と連携して研究を進めます。
    8. 全訪研大会では、関連する領域の共同研究者の協力を得て実践研究を深めます。
    9. 特殊教育学会などにおいて、訪問教育の諸課題について発信していきます。
    10. 全訪研の今後の在り方や活動について議論を進めます。

    5.2023年度第36回全校大会を北海道で開催します。

    感染症の状況を見ながら、開催形態を検討します。

    第31回新潟大会 基調報告

    ~第8次全国調査から見えてくる訪問教育の現状と課題~

    2018年8月6日

     全訪研は昨年度、訪問教育に関する第8次全国調査を行いました。この調査は会の発足以来4年ごとに行っており、「全国の訪問教育の状況を把握し、その実態を明らかにすることにより、今後の訪問教育の充実・発展に向けた課題解決の一助となること」を目的としています。
    調査は全国特別支援学校実態調査・平成29年度版記載の訪問学級設置特別支援学校を対象都市、2017年5月1日現在の状況を記入していただきました。発送総数384通、回答総数177通、回収率は46.1%でした。調査の結果は「訪問教育の現状と課題Ⅷ」として本大会にて販売しています。訪問教育の全国的な動向がわかる貴重な資料となっています。本大会の基調報告は「第8次全国調査から見えてきた訪問教育の現状と課題」として、調査結果の要点を中心に報告します。

    1 適切な授業時間数の確保

    (1)週あたりの授業回数・授業時間数

    訪問教育を受けている児童生徒の1週間あたりの授業回数については「4回」の割合が増え、「3回」「毎日」が減少しています。病院訪問の授業回数は「毎日」が減少し、「4回」が大幅に増えています。また、施設もわずかではありますが、「毎日」が減少しており、全体の授業回数増減に反映しています。
    1回あたりの指導時間数は、家庭(在宅)訪問では90分以上が80%以上、病院訪問で50%強、施設訪問で40%強となっています。施設訪問では、週当たりの授業回数は「4回・毎日」が一定数を占めますが、1回あたりの授業時間は短い傾向があるので、その短さを回数でカバーしている場合があることが分かります。
    授業回数・時間数の判断は「教育委員会」と「学校長」で約6割を占める結果となっています。自治体の規定によるところが多いと考えられますが、特に病院訪問と施設訪問では、実際の授業回数・授業時間数が多様であることから、各自治体の規定(訪問教育実施要項など)による違いについて明らかにしていく必要があります。
    訪問教育の授業時間数は、「特に必要があるときには、実情に応じた授業時数を適切に定めるものとする」となっています。また、就学の仕組みの変更に伴って、さらに「個々のニーズに応じて」いくことが重要です。各校から現在在籍している児童生徒の「実情に応じた(適切と考えられる)」週あたりの授業時間数を出していただきました。時間数を増やせると考える理由として、家庭(在宅)訪問では「通学できる体力があり、近くに学校があれば通学しているから」「学年対応の教科の授業をしている」など、病院訪問では「毎日同じ時間に授業を受けさせたい」「定着を図る」などが挙げられていました。現状通りと考える理由としては家庭(在宅)訪問では前回調査同様に、「他の支援とのバランス」「福祉サービスの利用で、ほぼ1週間が埋まっている」など家庭の事情が見えてきました。病院訪問では「院内学級ではないので、物理的に今以上はできない」など、施設訪問では「毎日でも可能だが、かなっていない」という体制面に関する記述がありました。また「定期的にスクーリングを計画しているため」「(現状は毎日120分以上で)学級で独自に定めている」という教育課程に関する記述があり、訪問形態別の課題を整理し、関係機関との連携により適切な授業時間数を検討していくことが望まれます。

    2 学習機会の保障

    (1)スクーリング

    家庭(在宅)訪問での「スクーリング無し」は2013年の第7次調査より若干下がり、その分、「年1回」「学期に1回」「2ヶ月に1回」を合わせた割合が上がっていました。病院訪問の「スクーリング無し」は大幅に減少し、施設訪問でのスクーリングは13%増えています。2009年度の第6次調査からみても、家庭は回数の大きな変動はなく、病院では回数が増加傾向にあり、施設では減少傾向にあります。施設での理由は健康上の理由が多くなっています。
    スクーリングの目標は、家庭や施設では集団学習の保障や経験の拡大、通学に向けた取り組みなどが考えられます。病院では、本校が病弱特別支援学校であれば集団学習保障など訪問形態別に、また、個人個人によって異なっていくことが考えられます。目的や内容と合わせて十分な検討が必要です。本校と障害種別や教育課程の違う場合なども考えると地域(地元)のリソースの活用なども考えられます。

    (2)訪問教育担当者以外の関係者の訪問実施状況

    担当者以外の関係者の中では、管理職の訪問は2009年度比で2013年度、2017年度ではやや減っているものの、割合でみると横ばいでした。コーディネーター、自立活動教員、養護教諭、校医といった職種の訪問は、2013年度に比べ、どれも減少していました。訪問教育対象児童生徒に対して、「組織としての学校」が対応するためには、課題を残しています。訪問の児童生徒も学校の一員であり、通学生と同様の教育環境、機会が保障され、「組織としての学校」が対応することが望まれます。特に、自立活動担当教員の同行訪問の回数が減っていることは、訪問生の教育内容の保障(健康や生命の維持)に影響が及ぶだけでなく、訪問の担任教員の専門性の向上にも大きく関わる課題です。

    (3)不登校対応

    前回調査において、訪問教育を受けている理由として不登校が挙げられており、今回新たに項目をつくりました。その結果、17自治体で不登校への対応として訪問教育が実施されていました。記述内容からこれらの児童生徒は本校の通学生がほとんどと推測されます。一方で、発達障害・自閉症・精神疾患が訪問生に占める割合が増えており、こうした障害から不登校になっている子どもたちに対して、訪問教育が教育保障の一方法となる可能性があります。通常の学校に在籍する児童生徒への対応については、実施している場合の経験も含めながら、関係する方たちとの対話を通して、不登校における訪問教育の役割を検討していく必要があると思われます。

    3.訪問教育における医療的ケア

    前回調査はこの法改正から1年後でしたが、訪問担当者の条件・制度に関する悩みでは「医療的ケアの在り方が明確でない」が約22.4%でした。今回の調査でも約24.8%となっていました。訪問生の医療的ケア実施はスクーリング時も含め、保護者に依存するところが多い実態は変わりません。また、「訪問生は対象外」「規定がない」に加え、医療的ケアに関する校内委員会の有無は4年前と全く変わりませんでした。学校が対象とする障害種別が異なる場合、医療的ケアを必要とする在校生がおらず、検討部署がないことが考えられます。例えば、校内保健委員会等、医療的ケアの校内実施について検討する部署を明確にすることが急務です。自治体による医療的ケア実施の考え方を考慮しつつ、訪問児童生徒の医療的ケアのあり方を検討していくことが急務です。
    また、人工呼吸器をつけて在宅生活を送る子どもたちが、2008年からの10年間で10倍になったと言われています。こうした子どもたちが通学を希望することが増え、文部科学省は2017年度より医療的ケア実施充実事業を行っており、人工呼吸器や酸素吸入などが必要な子どもたちへの対応を検討しています。
    スクーリングは通学籍に向けた取組みのひとつです。訪問の子どもたちが通学を希望する場合、スクーリング時の医療的ケアを保護者以外が行うことを検討するときに来ていると言えます。

    4.災害時の対応

    災害発生時に訪問先と学校との連絡方法が決められている学校は5~10%程度増えていますが、学校の防災計画への訪問教育における緊急対応マニュアルの策定は進んでおらず、学校組織としての対応から漏れているのが現状です。また、災害発生時における病院との連携については保護者に任せていることが多く、学校として関与することが難しいとしても、保護者と病院間の連携を勧めるとともに連携状況を把握しておくことは必要であろうと考えます。災害に対して備えていることとして、電源の確保や医療的ケアに必要な物品等、医療的ケア実施に関する項目が多数挙げられていました。また、福祉避難所を利用する上での医療面についての課題も明らかになり、地域で安全・安心に暮らせるよう、地域との連携を進める必要があります。

    5.卒業後の生活

    中学部卒業後の進路について、病院訪問では20%以上が進学せず入院、施設訪問でも約16%が施設入所となっていました。入院児者及び施設入所児者について、本人の状態、医療・福祉ニーズとのかかわりにおいて教育ニーズがどのように認識、判断されているのかを探っていく必要がありそうです。
    高等部卒業後の進路について、卒業の生活を支えるケース会議では学校・教員の果たす役割は依然として大きいと言えますが、家庭(在宅)訪問では相談支援専門員がケース会議に参加する機会も増えており、進路指導の段階から相談支援事業所との連携を進めていくことが重要になっていることがうかがえます。また、病院訪問、施設訪問ともに利用しているサービスの種類が増えていることから、相談支援専門員等の関りに注目していく必要があります。

    6.新たな取組み

    (1)通信教材の活用

    病院訪問及び施設訪問における通信教材の活用について実施状況を尋ねました。病院訪問では8都県、施設訪問では7府県、計15都府県で活用しているとの回答がありました。多くはSkype、facetimeなどのテレカンファレンス(テレビ会議)でしたが、OrihimeやDoubleなどのテレプレゼンスの活用もあり、集団学習の保障手段とされていました。また利用できない理由として、インターネット回線の問題が挙げられていました。
    社会的には今後一層の発展が期待できる分野ですが、対面での指導や交流とうまく組み合わせることで個々の児童生徒のニーズに対応できると考えられます。

    (2)交流・共同学習

    本校との交流ではお便りや文通・メールによる間接的な交流が三分の二をしめるものの、直接参加や合同行事も数多く行われていました。「ビデオレター」や「Skype」の利用など、直接ではありませんが児童生徒同士が対面した交流ができるよう工夫、連携されていました。
    訪問の児童生徒にとって、同学年、子ども同士の交流は貴重な場であるとともに、特に病院訪問の準ずる教育課程においては共同学習による原籍校への復学支援が望まれます。交流及び共同学習の充実に向け、メール、ビデオレター、SkypeなどICT機器の活用などを積極的に取り入れることも今後の課題です。

    7.訪問形態別の課題

    (1)家庭(在宅)訪問

    訪問教育の対象となった理由については、これまでと変わらず「本人の体力」が半数を占めているものの、その次に「医療的ケア」が3割近くとなり、2013年度調査と比べ増えていました。複数の医療的ケアがあったり、人工呼吸器を使用していたりする児童生徒に対して、医療的ケアに関する校内委員会が未整備であることなど、学校における医療的ケアへの体制整備が進まないことが大きな要因であるとなっています。また、スクーリングや外出手段、支援の整備は在宅訪問生にとっては課題の一つだと言えます。また、自由記述では、卒業後の進路先がない、限られているといった卒業後の進路に関する課題が多く挙げられており、在宅訪問生にとって大きな課題であることがわかりました。

    (2)病院訪問

    病院訪問は当該学校に転編入しなければ受けることができません。そのため、家庭の事情や手術などに伴う入院や短期入院、転入手続きが済むまでの間などに、学籍の異動を伴わない学習支援が行われています。今回の調査では本人の入院や家庭の事情による入院などを理由に、入院期間が3週間から1か月程度で転校しない場合、転校手続き期間中などに、「教育相談」、「交流及び共同学習」、「短期通級指導」などのしくみを活用して、学習支援が行われていました。
    病院訪問の学習の場は、「他との共用」が40%を超え、「特に設けていない」と合わせると75%近くになります。勤務先については病院内に「特に職員室はなし」の回答が2009年度、2013年度と徐々に増加し、2017年度は85%を超えていました。条件整備を進める上で、病院との連携が要となっているようです。

    (3)施設訪問

    施設訪問の学習の場は、専用の指導室が減り、共有の部屋が増えていますが、施設の建て替えなどの影響が考えられます。職員室についても半数以上が「特になし」であり、教材準備や打ち合わせのための場所が十分に確保されているかを見ていく必要があります。施設職員との連絡会は「学期に1回」が2013年度調査では減少していましたが、本調査では40%近くに増えていました。
    今後の課題では不就学者の教育保障が挙げられていました。義務教育修了で高等部進学は認められない場合や、中学部3年に編入して高等部進学する場合など、自治体により様々な対応をしており、生涯学習の観点も含めて、検討していく必要があります。

    8.訪問教育実施校の状況

    (1)担当者の状況

    訪問担当者の年齢層は20代・30代と50代・60代が増加していました。全国的に大量退職に伴う新規採用教員の増加により、訪問担当者も若年齢化が進むことが予想されますが、現段階で教員経験の長い担当者と若年層が訪問教育に携わることは、訪問教育の知見を引き継いでいくことにつながると考えられます。また、訪問教育担当者の勤務状況としては正規教員・講師共に兼任の割合が増加していました。

    9.訪問教育担当者の思いと研修ニーズ

    (1)担当者の思い・嬉しいこと

    「児童生徒の成長や変化」「児童生徒の笑顔」が2013年度調査よりさらに増加し、80%を超えていました。次いで、「用意した教材・教具が児童生徒の興味・関心を引いた」、「児童生徒が訪問を楽しみにしている」「ひとりの児童生徒とじっくり向き合える」が70%を超えており、児童生徒の成長や変化が訪問担当者のモチベーションを高めるとともに、重症児者の発達を保障する訪問教育が目指すところを示していると言えます。

    (2)訪問担当者の抱える悩み・課題

    訪問担当者の指導に関する悩みでは、「指導法・教育課程づくりに悩む」「教材・教具が限られる」「集団学習・スクーリングが困難」が50%前後で上位でした。経年変化では、前回もこの3項目が上位を占めています。担任に関する悩みでは、2009年度、2013年度に20%前後だった「訪問教育に関する経験者の配置」が約34%と大幅に増加していました。また、「訪問担任希望者がいない」、「担任がすぐ変わる」も10%以上増加していたこと、「自分自身の知識や技能不足」が約56%と過去最高での高さとなったことから、担当者が指導の困難さを強く感じながら取り組んでいることが浮き彫りになりました。

    (3)訪問担当者の研修ニーズ

    訪問教育に関する打合せについては、「なし」が18%、「1時間以内」が48%という状況でした。特に、一人で訪問することが多い「家庭(在宅)訪問」で話し合いの時間が少ないことは児童生徒の発達や授業について相談することが難しい状況を示しています。また、訪問教育に関わる研修については、訪問担当1年目で訪問教育に関する「研修なし」が」28.5%でした。訪問教育経験年数が3年未満の担当者が約55%であり、訪問担任の交代が頻繁であることなどから、訪問教育に関する「自分自身の知識や技能不足」を感じていました。研修内容として「発達診断」「教材研究」が増加しているのに対し、「教育内容」「訪問教育独自」の研修が減少していることから、児童生徒の実態に応じた授業づくりに関するニーズがあると言えます。

    ★インクルーシブ教育時代における訪問教育

    訪問教育は障害の重い子どもたちのセーフティネットの役割があります。第8次調査では学級編成の考え方が自治体によって異なり、教育格差の実態が見えてきました。個々の実情に応じた教育を保障するためには、訪問学級設置基準の法令化が求められます。また、第8次調査では「学籍の異動」「病院における学籍の異動を伴わない学習支援」「通信教材の活用」「交流及び共同学習」など、現代の教育課題に関する項目を新たにつくりました。学籍を異動しなくても教育が受けられる「通級による指導」や「交流及び共同学習」の活用、院内学級と訪問学級のすみ分けの見直し、ICT機器活用による学習機会の保障及び学習内容の充実など、現在の教育制度を発展的に活用していくことで、訪問児童生徒の教育を充実させることができるのではないでしょうか。こうした議論を積み重ねることで、訪問教育は在籍する学校を問わず教育機会から離脱している児童生徒への教育保障に寄与しうるのではないでしょうか。

    ★新潟大会の論議に向けて

    第31回新潟大会は「一人ひとりのいのちが輝く教育をめざして~受け継ごう 訪問の歩み 切り開こう 訪問の未来を~」を大会テーマに掲げました。これまで訪問教育の取組みから見出された、障害の重さや医療的ケアの有無によらず「一人ももれなく保障される教育の必要性と正当性」、高等部訪問による「青年期の教育保障」などを引継ぎつつ、未来につなげていきたいという思いを込めました。大会を通して、第8次調査結果から見えてきた訪問教育の課題、児童生徒の「教育条件」、「教育環境」について考え、訪問教育の進化・深化を目指し大いに議論していきましょう。この大会がこれからのインクルーシブ教育時代における訪問教育の可能性を検討する契機になることを願っています。
    最後になりますが、大会を準備していただいた現地実行委員会の皆様に心からお礼申し上げて基調報告といたします。

    2018年度 活動方針

    1. 全国の実践を交流しあい、そのつながりを大切にしながら、訪問教育の制度や教育内容を充実させる研究を進めます。

    訪問教育で学ぶ児童生徒の重度重複化と多様化が進んでいます。訪問教育担当の教員の入れ替わりが多い中、子どもや保護者の教育への多様なニーズと期待に応えるため、教育課程、教育内容・方法の一層の研究充実を目指します。

    1. 全国大会を開催します。
    2. 会報「こんにちは」を発行し、各地の実践や情報を紹介します。
    3. 「訪問教育研究No.31」を発行し、会員に配布するとともに普及に努めます。
    4. 会報「こんにちは」とともに、全訪研メーリングリストやホームページ、大会での「状況調査」などを活用して、会員相互の実践や条件整備のための交流を進めます。

    訪問教育の実施状況を明らかにし、制度改善について研究を進めます。

    特別支援教育の展開のなかで訪問教育の実施状況も変化しています。自治体や学校、訪問先によって教育条件の違いも生じています。これまでの到達点をさらに発展させる視点に立って、訪問教育のあり方を研究します。

    1. 第8次全国調査を基に「訪問教育の現状と課題Ⅷ」を発行し普及に努めるとともに、広く意見交換を行います。
    2. インクルーシブ教育を踏まえた訪問教育のあり方について検討し議論を深めます。
    3. 就学猶予・免除者、長期欠席・学習空白を生じている子どもたちの教育保障について、関係分野の方と協力して検討を進めます。

    3. 地域・ブロックでの訪問教育研究活動を進めます。

    地域に根差した訪問教育を一層発展させていくために身近な地域・ブロックでの活動を積極的に進めます。

    1. 地域・ブロックの訪問教育研究活動を広く訴え、各地の学習会開催のために、地域活動推進費の活用や講師派遣など、必要な協力を行います。
    2. 地域活動推進費の活用が広がるよう、「地域での研究活動マニュアル」を普及します。
    3. 地域ごとの活動を進め、「こんにちは」「ホームページ」を通じて交流を行います。

    4.全訪研の活動の輪を広げ、関係者との連携を積極的に進めます。

    1. 会員の拡大と交流に努めます。
    2. 「全訪研メーリングリスト」の普及につとめ、日常的な交流を推進します。また、地域でのメーリングリストとのリンクをはかります。
    3. 全訪研ホームページを充実させ、活用します。
    4. 保護者と訪問教育についての意見交換を行い、「全国訪問教育親の会」との連携を進めます。
    5. 医療・福祉関係者など、重症児(者)・病気療養児(者)に関わる方と連携して研究を進めます。
    6. 全訪研大会では、関連する領域の共同研究者の協力を得て実践研究を深めます。
    7. 特殊教育学会などにおいて、訪問教育の諸課題について発信していきます。
    8. 全訪研の今後のあり方や活動について、議論を深めます。

    5.第32回全国大会を千葉で開催します

    2017年度 活動方針

    1.全国の実践を交流しあい、そのつながりを大切にしながら、インクルーシブ教育の中での訪問教育の在り方や制度・教育内容の研究を進めます。

    訪問教育で学ぶ児童・生徒の重度重複化と多様化が進んでいます。訪問教育担当の教員の入れ替わりが多い中、児童・生徒や保護者の教育への多様なニーズと期待に応えるため、教育課程、教育内容・方法の研究の一層の充実を目指します。また、高等部教育並びに成人期以降(就学猶予免除者)の教育課程の編成及び教育内容について研究を進めます。

    1. 全国大会を開催します。
    2. 会報「こんにちは」を発行し、各地の実践や情報を紹介します。
    3. 研究誌「訪問教育研究」を充実させます。また、「No、30」を発行し、会員に配布するとともに普及に努めます。
    4. 「こんにちは」とともに、全訪研メーリングリストやホームページ、大会での「状況調査」などを活用して、会員相互の実践や条件整備のための交流を進めます。

    2.訪問教育の実施状況を明らかにし、制度の改善について研究を進めます。

    特別支援教育の展開の中で訪問教育の実施状況も変化しています。自治体や学校、訪問先によって教育条件の違いも生じています。これまでの到達点をさらに発展させる視点にたって、訪問教育の在り方を研究します。

    1. 「訪問教育の現状に関する第8次全国調査」を行います。
    2. 「30周年記念出版全国大会記念講演選集 全訪研が学んできたこと、そしてこれから」「提言-訪問教育の充実と拡大のために」の普及に努めるとともに、広く意見交換を行います。
    3. 就学猶予・免除者、長期欠席・学習空白を生じている子どもたちの教育保障について、関係分野の方と協力して検討を進めます。

    3.地域・ブロックでの訪問教育研究活動を進めます。

    地域に根差した訪問教育を一層発展させていくために、身近な地域・ブロックでの活動を積極的に進めます。

    1. 地域・ブロックの訪問教育活動を広く訴え、各地の学習会開催のために、「地域活動推進費」の活用や講師派遣など、必要な協力を行います。
    2. 「地域活動推進費」の活用が広がるよう、「地域での研究活動マニュアル」を普及します。
    3. 地域ごとの活動を進め、「こんにちは」や「ホームページ」を通して交流します。

    4.全訪研の活動の輪を広げ、関係者との連携を進めます。

    1. 会員の拡大と交流に努めます。
    2. 「全訪研メーリングリスト」の普及に努めます。
    3. リニューアルした「ホームページ」の充実に努めます。
    4. 保護者と訪問教育についての意見交換を行い、「全国訪問教育親の会」との連携を進めます。
    5. 医療・福祉関係者など、重症児(者)・病気療養児(者)にかかわる方と連携して研究を進めます。
    6. 全訪研大会では、関連する領域の共同研究者の協力を得て実践研究を深めます。
    7. 特殊教育学会などにおいて、訪問教育の諸課題について発信していきます。
    8. 30周年を迎えた全訪研の今後の在り方や活動について議論を進めます。

    5.第31回全国大会を新潟で開催します。

    2016年度 活動方針

    1.全国の実践を交流しあい、そのつながりを大切にしながら、訪問教育の制度や教育内容を充実させる研究を進めます。

    訪問教育で学ぶ児童・生徒の重度重複化と多様化が進んでいます。訪問教育担当の教員の入れ替わりが多い中、児童・生徒や保護者の教育への多様なニーズと期待に応えるため、教育課程、教育内容・方法の研究の一層の充実を目指します。また、高等部教育並びに成人期以降(就学猶予免除者)の教育課程の編成及び教育内容について研究を進めます。

    1. 全国大会を開催します。
    2. 会報「こんにちは」を発行し、各地の実践や情報を紹介します。
    3. 研究誌「訪問教育研究」を充実させます。また、「No、29」を発行し、会員に配布するとともに普及に努めます。
    4. 「こんにちは」とともに、全訪研メーリングリストやホームページ、大会での「状況調査」などを活用して、会員相互の実践や条件整備のための交流を進めます。

    2.訪問教育の実施状況を明らかにし、制度の改善について研究を進めます。

    特別支援教育の展開の中で訪問教育の実施状況も変化しています。自治体や学校、訪問先によって教育条件の違いも生じています。これまでの到達点をさらに発展させる視点にたって、訪問教育の在り方を研究します。

    1. 「訪問教育の現状と課題Ⅶ」「提言-訪問教育の充実と拡大のために」の普及に努めるとともに、広く意見交換を行います。
    2. 「訪問教育の現状に関する第8次全国調査」の準備を進めます。
    3. 就学猶予・免除者、長期欠席・学習空白を生じている子どもたちの教育保障について、関係分野の方と協力して検討を進めます。

    3.地域・ブロックでの訪問教育研究活動を進めます。

    地域に根差した訪問教育を一層発展させていくために、身近な地域・ブロックでの活動を積極的に進めます。

    1. 地域・ブロックの訪問教育活動を広く訴え、各地の学習会開催のために、「地域活動推進費」の活用や講師派遣など、必要な協力を行います。
    2. 「地域活動推進費」の活用が広がるよう、「地域での研究活動マニュアル」を普及します。
    3. 地域ごとの活動を進め、「こんにちは」や「ホームページ」を通して交流します。

    4.全訪研の活動の輪を広げ、関係者との連携を進めます。

    1. 会員の拡大と交流に努めます。
    2. 「全訪研メーリングリスト」の普及に努めます。
    3. リニューアルした「ホームページ」の充実に努めます。
    4. 保護者と訪問教育についての意見交換を行い、「全国訪問教育親の会」との連携を進めます。
    5. 医療・福祉関係者など、重症児(者)・病気療養児(者)にかかわる方と連携して研究を進めます。
    6. 全訪研大会では、関連する領域の共同研究者の協力を得て実践研究を深めます。
    7. 特殊教育学会などにおいて、訪問教育の諸課題について発信していきます。
    8. 全訪研の今後の在り方や活動について議論を進めます。

    5.第30回記念全国大会を関東で開催します。

    30回記念大会として、歴史に学び、インクルーシブ教育の中での訪問教育の在り方を検討する大会を目指します。また、記念出版の準備を進めます。

    2015年度 活動方針

    1.全国の実践を交流しあい、そのつながりを大切にしながら、訪問教育の制度や教育内容を充実させる研究を進めます。

    訪問教育で学ぶ児童生徒の重度重複化と多様化が進んでいます。訪問教育担当の教員の入れ替わりが多い中、子どもや保護者の教育への多様なニーズと期待に応えるため、教育課程、教育内容・方法の一層の研究充実を目指します。また、高等部教育並びに成人期以降(就学猶予免除者)の教育課程編制及び教育内容について研究を進めます。

    1. 全国大会を開催します。
      -ブロック開催を呼びかけます。また、大会の開催を担いうるブロック活動の発展を目指します。
    2. 会報「こんにちは」を発行し、各地の実践や情報を紹介します。
    3. 研究誌「訪問教育研究」を充実させます。また「No.28」を発行し、会員に配布するとともに普及に努めます。
    4. 会報「こんにちは」とともに、全訪研メーリングリストやホームページ、大会での「状況調査」などを活用して、会員相互の実践や条件整備のための交流を進めます。

    2.訪問教育の実施状況を明らかにし、制度改善について研究を進めます。

    特別支援教育の展開のなかで訪問教育の実施状況も変化しています。自治体や学校、訪問先によって教育条件の違いも生じています。これまでの到達点をさらに発展させる視点に立って、訪問教育のあり方を研究します。

    1. 第7次全国調査を基に「訪問教育の現状と課題Ⅶ」の普及に努めるとともに、広く意見交換を行います。
    2. 「提言-訪問教育の充実のために」を全訪研全体で練り上げ作成・発表し、その実現に向けて関係者と力を合わせます。インクルーシブ教育を踏まえた訪問教育のあり方について検討し議論を深めます。
    3. 就学猶予・免除者、長期欠席・学習空白を生じている子どもたちの教育保障について、関係分野の方と協力して検討を進めます。

    3.地域・ブロックでの訪問教育研究活動を進めます。

    地域に根差した訪問教育を一層発展させていくために身近な地域・ブロックでの活動を積極的に進めます。

    1. 地域・ブロックの訪問教育研究活動を広く訴え、各地の学習会開催のために、地域活動推進費の活用や講師派遣など、必要な協力を行います。
    2. 地域活動推進費の活用が広がるよう、「地域での研究活動マニュアル」を普及します。
    3. 地域ごとの活動を進め、「こんにちは」「ホームページ」を通じて交流を行います。

    4.全訪研の活動の輪を広げ、関係者との連携を積極的に進めます。

    1. 会員の拡大と交流に努めます。
    2. 「全訪研メーリングリスト」の普及につとめ、日常的な交流を推進します。また、地域でのメーリングリストとのリンクをはかります。
    3. 全訪研ホームページを充実させ、活用します。
    4. 保護者と訪問教育についての意見交換を行い、「全国訪問教育親の会」との連携を進めます。
    5. 医療・福祉関係者など、重症児(者)・病気療養児(者)に関わる方と連携して研究を進めます。
    6. 全訪研大会では、関連する領域の共同研究者の協力を得て実践研究を深めます。
    7. 特殊教育学会などにおいて、訪問教育の諸課題について発信していきます。
    8. 全訪研の今後のあり方や活動について、議論を深めます。

    第29回全国大会を東北で開催します。

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